古琴:どうだい、時代を超えた令和への旅は面白いだろ。
八:熊公は、春先まで寝てましたけどね。
熊:早く冬眠しろって言うからさ。
八:でもまたノコノコ出始めて、迷惑をかけてるらしいじゃねえか。早いとこ、くまモンとプーさんって奴に言って、熊どもを静かにさせろよ。
熊:俺は獣じぇねえよ(バシっ)。
八:ところで、何やら怖い流行病があったって聞きやした。
蔦重:ああ、新型コロナウイルスの話か。世界中が大変だったらしいな。今もどこかに潜んでいるらしい。手洗い・うがいは欠かさないと。
八:熊公、お前のことだ。
熊:うるせい(バシっ)。
蔦重: ハンタウイルスやエボラ熱なんてのも出てきた。ハンタを運ぶネズミを始末しようぜ。
八:熊公、頼むぞ。
熊:俺は熊だ、猫じゃねえ(バシっ)。
八: 古琴の旦那、日の本では、何やら「ハンタイウイルス」って奴も流行っているらしいすね。この病にかかると、何にでもハンタイするって聞きやした。筆頭家老の姐さんが何か言うと、とにかくハンタイという輩がいる。
古琴: 我が国だけではない。米藩のトラ殿様は、何でも気に食わなくて反対したがる。ハンタイウイルスにかかっているらしいとの噂がたえない。
蔦重: 電子紙つぶての投げ合いもすごいらしい。一斉にハンタイと、そのハンタイへのハンタイが蔓延するらしいっすね。
古琴: 非難と暴言の紙つぶてが大量に投げ込まれることを「炎上」って言うのだよ。
熊: 炎上って火事のことっすよね。江戸の華は喧嘩と火事だ。日の本全土に、火事と喧嘩が行き渡ったってことか?
八: 馬鹿言うな(バシっ)
熊:だって、ハンタイするってのは喧嘩ってこったろ。
八:喧嘩はともかく、火付けは磔(はりつけ)の刑だぞ!(バシっ)
蔦重:ならば、トラ殿様やプー殿様は磔(はりつけ)だぜ。

目詰まりは商いの常



蔦重:でも、そもそも姐さんも、、ハンタイする奴にハンタイしたがるっていうハンタイ好きらしいっすね。
古琴: 石油の倹約話がまさにそうだね。
蔦重:石油って、「草生水」(くそうず)や「臭水」(くさうず)っていう「燃える水」のことですよね。
古琴:さすが耕書堂、その通り。先月話したとおり、米藩のトラ殿様がイラン藩と大戦(おおいくさ)を始めて、その石油を積んだ船の通り道、ホルムズ海峡を封鎖したんだよ。
熊:イランことしやがって。
八:先月と同じ戯れ言を言うんじぇねぇ(バシっ)。
蔦重: 熱や灯りの元っこになる石油だけじゃなくて、そこからできるモノづくりに使うナフサってのも手に入らないで困っている。それって粗製(そせい)や石脳油(せきのうゆ)(せきのうゆ)のことですよね。
 老舗の旦那衆が節約を呼びかけませんかと言うけど、姐さんは「大丈夫、目詰まりしているだけ」の一点張りで呆れられてますね。
八:左官屋は塗るモノが入らないって困ってますぜ。
熊:大工も、家や屋敷を建てるのに物が入らないってさ。
蔦重: 何より、モノの包装も困っているらしい。
古琴:メンツを気にするのは時には必要だが、いつまでも言ったことに固執しているのはいかがなものかね。そのくせ、昔言った都合の悪いことは、いつの間にかないことなっている。困ったもんだ。
八: オレ達の時代にも「米の目詰まり」があって米問屋の打ち壊しがありやした。令和も同じになんなきゃよいけど。
古琴: 儲けたくて買い占める連中もいるが、大半は予備がないと不安だから多少の余分が欲しだけだ。
 心配する連中がいくつもの店に注文しに行く。小売りの店も先行きが心配なので、いくつもの問屋に注文を出す。結果、注文が連鎖的に必要以上の「水ぶくれ」する。
 その一方で、ブツは入らないので必要なところに届きにくい「目詰まり」を引き起こす。「注文の水ぶくれ」と「ブツの目詰まり」が実は重なる。商売の常識だ。
 姐さん達老中や城の連中は、そこをよくわかっていないようだ。米の目詰まりも、ナフサの目詰まりも似ている。
蔦重: オレ達のころも、田沼様から松平定信様に替わって「寛政の改革」の中で倹約・倹約と言われてまいっちまったけど、今回はしっかり皆で倹約しねえといけねぇや。

日の本にとっての鬼門は?



熊:ところで、その何とか湾ってのは、どこにあるんだ?
八:ずうっと西だろ。
蔦重: オリエントと呼ばれて、大昔にすごい文明と文化があったところらの近辺らしい。
古琴: エゲレス語で方向づけるって意味のオリエンテーションという言葉がある。西欧から見ると日の昇る方向にオリエントがあって、そこでバテレンの神様が生まれた。オリエントは日の出と拝むべき方向なんだな。寄り合いの時に、まず段取りを示すことを「オリエンテーション」と言うのは、ここからきている。
蔦重:あっちへ向かって頑張ろうぜってことか。
八: 「日出ずる国(ひいづるくに)」は日の本だけじゃない。
古琴: 三蔵法師が向かった天竺(インド)も中国からはオリエントの方向だね。逆に西、「日の没する国」に向かったわけだがね。
蔦重: 西に向かうので『西遊記』。
熊:孫悟空が活躍するやつか。
八:お前は猪八戒みたいだな、飯食って、酒飲んで。
熊:ブタ公と一緒にするな、俺は熊公だ(バシっ)。
八: 俺は沙悟浄。蔦重は孫悟空。古琴の旦那は法師様だ。
蔦重: 西の奴らは東へ行きたがり、東の連中は西へ行こうとする。
古琴: そうかもしれん。だがな、日の本が西へ向かうとロクなことがない。
 任那の日本府は破れ、太閤秀吉は西方に領土を求めて朝鮮半島で惨敗、現地に大きな迷惑をかけた。さらに昭和の世では、西の朝鮮半島や満州を征服して、これまた悲惨な結果を招いた。西は日の本の鬼門と言えるかもしれないね。西洋かぶれは構わんけど、実際に西に打って出るなんてことは金輪際やってはいかん。
 加えて、日の本は東に向かってもろくなことはない。米藩のハワイ真珠湾を攻撃して昭和の大戦(おおいくさ)を始め、西に迷惑をかけた挙げ句に叩きのめされた。
八: じゃ、西も東も鬼門? また鎖国?
古琴: いや、交易は大いに結構。八さんや熊さんのようなモノづくりや、蔦重の浮世絵や草紙などの文化に励む。それを提供すれば西にも東にも大きく貢献できて稼げる。それが一番だよ。
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 毎度の戯れ言・与太話、お粗末さまでございました。