70年ほど前に祖父が創業し3代目です。現在は葬儀が事業の柱ですが、もともとは “町の洋品店”で、地域の学生衣料・祭り衣装も扱っていることにその名残があります。
 平成元年に父が事業を承継。そのときはまだ洋品店でしたが、父が副業というか趣味というかで結婚式の司会をやっていて、やがてお葬式の司会も引き受けるようになり、その流れで自社でも葬儀をやろうということになったようです。僕が高校生だった25年くらい前のことでした。
  店は半田市亀崎町にあり、商圏はその亀崎と隣接地区がメイン。20年ほど前までは公民館とか区民館に白木の祭壇が設けてあって、そういったところでお葬儀をあげるの主流でしたが、現在は当社が提携しているホールを使っての葬儀が半数以上で、加えてご自宅での葬儀も2割ほどあります。
 やっぱり故人さんが建てた家とか住み慣れた所から送ってあげられるって、すごく価値があることだと思うんです。ですから当社では、
 「自宅でやりたい」という要望を断ったことは一度もありません。今は親戚も呼ばない本当に家族数人だけの葬儀が少なくなくて、そういう場合は6畳の和室でもあれば十分。県営住宅とかの狭いご自宅での実施例もあります。  
 

人の役に立っていると実感できる仕事を



 実は後を継ぐつもりは全然なくて、映像の専門学校を出た後はケーブルテレビで番組制作の仕事をしていました。戻ってきたのは30歳の時です。前職で地域の方と関わる機会がすごく多くて、だんだんカメラを通じてではなくもっとダイレクトに、何か人の役に立てるようなことをしたいなと思うようになっていったんです。
 お葬式の仕事をやりたかったとか、親の後ろ姿を見て――ということでは全然なくて、親から継いでほしいと言われたこともなかったのですけど、そういう思いが強くなっていって、たまたま実家が地域に根付いた商売をしているので、「戻ろうかな」と。
 そうしてエガミの仕事をする中で感じたのですが、葬儀という仕事はお客様に感謝しかされないんですよ。「ありがとうございます」ってダイレクトに言ってもらえて、本当に人生を賭けてやっていく価値がある仕事をさせてもらってるなと思っています。
 愛知中小企業家同友会は、たまたま亀崎のお祭りの先輩が入っていて、「こういう会があるよ」と紹介してもらい、ゲストで参加してみたら、すごくいい会だなと思えたので入会させてもらいました。
 何しろ前職が全然違う仕事でしたし、経営のことも何も分からなかったので、同友会に入ったことでいろいろ教えてもらえ、困ったら誰かに相談できるし、本当に助かりました。
 同友会の会員には名古屋市内の同業者もいて、その方にもいろいろ教えてもらえました。うちは結構格安な価格でやっていたので利益を出すのが難しかったのですが、高価格帯の商品を作ってお客様の選択の幅を広げたりもして、だんだん売り上げも利益も増えてきた感じですね。経営者としてはまだまだですけど、いろいろといいきっかけを作ってもらえたなと思ってます。
 

エガミの強みと衣料を扱い続けるわけ


 
 以前は半田市内に老舗の葬儀屋さんが存在したのですが、今では競合相手は大手だけになりました。そういう中でどうやって差別化していくのか――。自宅での葬儀を選択として用意するのもその一つですが、当社では葬儀だけでなく、その前後のフォローも行うことを強みにしています。
 特に、葬儀を終えた後の手続きって大変なんですよ。相続のこととか、土地のお話とか。そういうところも全部うちが窓口になり、お客さまの寄り添って、ちゃんと次のところにつないでいくサービスを提供しているんです。その際、同友会には士業の方も結構おみえなので、そういう信頼できる方につないだりすることももちろんあります。僕が所属してる知多地区はエリアが結構広くて会員数も多く、いろいろな専門の方がみえて、いい地区だなと思います。
 学生服を扱い続けているのは、地域の方に求められているからです。加えてリユースも始めました。使わなくなった制服を買い取り、クリーニングして状態見てランク付けし、価格を決めて販売――と、次の使用者につないでいくことを行っていて、半田市中から結構店に来てくださっています。
 始めた理由は2つあって、1つは特に中学生ってサイズアウトしやすいこと。 3年生の2、3学期に買い替えが必要になることが結構多いのですが、残り数ヶ月しか着ないのに新品を買っていただくのももったいないな――と。もう1つは生活困窮の方が結構多いことに気づいたことです。そういう方たちに少しでも費用がかからないようにできる取り組みとしてやっています。
 始めてみたところ、意外な需要がいセーラー服でした。半田市は3年前に中学の制服をブレザー化したのですが、「セーラー服も着ていい」というルールなんですよ。今の時代の空気感なのか、「セーラー服の方がかわいい」というリアクションで買いに来てくださるという需要がすごくあります。
 祭り衣装は、亀崎は重要無形民俗文化財になっている「亀崎潮干祭」で知られるように、今でも祭りがすごく盛んな土地なので、衣装の部分で地域に貢献をと。町内にもう1店舗、祭り衣装を扱っている店はあるのですが、そこは店主がわりと高齢で後継者がいません。うちはたまたま僕が戻ってきましたので、続けているという形です。

 

地域社会に求められるサービスを追求



 うちは創業70年という町に根差してきた歴史があり、亀崎ではネームバリューがあって、「エガミ」を知ってくれている人が葬儀も頼んでくださっています。けれど、これからは「エガミ」を知らない方にも、うちのサービスを届けたいなっていう思いがあります。
 業態の変化は、私たち自身も地域の中で暮らし、人々との関わりの中で商いをしてきたことで、正確にニーズを把握し、対応してきたからでしょう。価値観がどんどん変わっていく中で、これからも関わりあう人たちの思いに真摯に向き合い、ニーズに応えられるサービスを常に探していきたいなと思っています。

 エガミ店舗