漢字は物の形をかたどった「象形」と呼ばれる文字が始まりです。「牛」という字は、立派な2本の角を持つ牛を正面から見た形から生まれました。「馬」は長い顔とたてがみをシンボルに、全身形で表され、「羊」も左右に角を持つ全身の姿から生まれた文字です。そんな動物たちが、漢字の中に紛れ込んで新しい漢字を作りました。今回はその中から3つを紹介しましょう。
①美
 「羊」と「大」の組み合わせでできた漢字。大きな羊(立派な羊)は、美しかったのでしょう。
②善
 「善」の元の字は少し違っており、神聖な羊を真ん中に、両側に言語の「言」という字を書いた「譱」でした。これは古代中国での裁判を表す字です。
 原告・被告双方が神の前に神聖な羊を差し出します。その神の前でうそ偽りのないことを言い合い(このため「言」が「羊」を挟んで2つあります)、神の裁判を受けて正否をつけました。その結果、神の意思に沿った側=正しい側が「善(よい)」となったのです。
 では、神はどのように善悪を判断したのでしょうか。詳しくはわかっていないのですが、裁判に登場する神聖な羊は「解廌(かいたい)」と呼ばれ、神の意思を伝える役目を果たしたといわれています。悪い側を見抜き、鼻をこすりつけ、悪を正す仕草をしたのです。
 こうした古代中国の裁判は、「羊神判(ようしんぱん)」と呼ばれました。裁判に登場する神聖な羊がいたのです。そして、その裁判に勝ったことを表す字が「善」だったのです。
③焦
 「焦る」というときの「焦」。「灬(よつてん)」の上にいるのは、「隹(鳥)」で、「灬」はこの場合「火」です。火の上に鳥がいる構図は「焼き鳥」です。下から火が来たら鳥も焦りますよね。
 まだまだ探せば漢字の中に上手に身を隠している動物の姿が見つかるかもしれません。是非探してみてください。

202604.jpg